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(茨城大学理学部 生物科学コース、大学院理工学研究科 量子線科学専攻)

   Hiroshi Tauchi Laboratory, Ibaraki University

 
 

Our research field

Radiation Biology, Molecular Biology, Cell Biology


研究分野:放射線生物学、分子生物学

Professor:  Hiroshi Tauchi, Ph.D.

[研究の概要]
細胞が遺伝子損傷を修復するしくみの研究

田内研究室では、ヒトやマウスなどの培養細胞を用いて、放射線や化学物質によって生じる遺伝子DNAの損傷(DNA分子の変化)を生体内で修復する機構について、細胞や生体分子(タンパク質)レベルで解明するための研究を行っています。特に、放射線に被ばくした細胞に発生するDNA鎖の切断について、細胞が修復する機構や、突然変異の発生に重点を置いています。遺伝子組換え技術を使って様々な細胞を作り出し、分子生物学的な解析手法で研究を進めています。

福島第一原発事故  *過去の文を継続掲載
放射線生物学の立場から(2011-2014)

福島第一原発事故による放出物(放射性物質)が茨城県にも降下しました。これに関する解説や情報を2011年から継続して掲載してきました。事故から5年が経ちましたが、そのまま残すことにしました。当時からの情報はこのページと「放射線影響Q&A」ページにあります。「放射線とは」なんて面白くないかもしれませんが、「喉元過ぎれば」ではなく、きちんと知ることこそが、心の安寧と本当のリスク回避につながるはずです。

2013年1月7日
早いもので、震災とそれに続く原発事故から2年が来ようとしています。いまもなお不便を強いられている、福島をはじめとする被災地の皆様には、心よりお見舞い申し上げますとともに、再建に向けて努力されている皆様にエールを送ります。一方で、いまだに放射線やその影響に関する誤解が原因となってさまざまな問題が起き続けていることは、放射線の生体影響の研究に取り組んできた一人として残念でなりませんし、反省すべき点でもあると思っております。
きちんとした知識を持つことは、冷静な自己判断(自分の基準を持つこと)につながり、何よりもそれが安心につながります。誰だって得体が知れないものは怖いに決まっていますし、そのために受けるストレスは計り知れない影響をもたらします。多くの方にとって、放射線の話なんて面白くも何ともないとは思いますが、本当の意味で現状を知って家族やコミュニティーを守るためには、「意図された情報や意見」ではなく、「科学に根ざした客観的な情報」が欠かせません。科学に根ざした情報というと、何だか難しい感じですが、そんなに難しい情報はなくても良いのです。例えば、道路の安全を確かめるのに、車の細部にわたる仕組みを知っている必要はありません。車について何となく知っていれば(しかし、それは客観的な情報でないといけません)十分なはずです。これと同じで、放射線の影響についてもごく基本的な知識があれば自己判断は十分できますし、いずれはそれが安心につながるはずです。知識が多いに越したことはありませんが、自分の基準を持つという観点では、少しだけ科学を知っていれば良いのです。以降の情報やQ&Aを、そのために役立てていただければたいへん幸いです。

2011年からの個人被ばく線量
田内は、原発事故が発生した2011/3/13以来、ガンマ線用のポケット線量計を常時装着しております。家族とともに過ごす水戸市(関東)での普通の生活で受ける実測の積算線量をご報告しています。
注1:線量は田内の個人被ばく線量(屋外にいる時間は、平日は2時間程度、土日は4-5時間程度)です。普段から屋外にいる時間が長い方は、ここで報告する値よりもやや高くなります。
注2:測定値は「外部被ばく線量」です。総線量の評価では、この値に「内部被ばく」の推定値を合算する必要があります
なお、現状で、普通の生活をしている限りは、内部被ばくレベルが大きく上昇するとは考えられません。合算(試算)については次のQ&Aのページをご覧下さい。(メニューは最上部です)

(参考)
 水戸市(茨城大学水戸キャンパス)の平常レベル:
  空間線量率:0.05〜0.06マイクロシーベルト毎時(μSv/h)
             → 1日あたり約1.5マイクロシーベルト(μSv)
*注:1.5という値は、関東の年間平均外部被ばく線量からの
   逆算です。過去の実測値を元に計算すると、1日あたり
   1.2〜1.4マイクロシーベルトになります。
(測定値)
2011年のデータについて
3/13から計測していますが、4/5夜に電池が切れてしまい、すぐに電池交換が出来なかったため、4/5 23:00〜4/6 9:00までの約10時間分のデータが失われています。4/6 9:00より計測を再開しましたが、データに欠落があるため、4/6以降の積算線量は若干(1マイクロシーベルト程度)の過少評価となっております。何卒ご承知おき下さい。
電池を交換するたびに数値はリセットされるため、電池交換後はそれまでの数値と合算する必要があります。2/28 23:00に電池交換しました。2/29以降の積算線量は、4/5まで、5/12朝まで、6/15夜まで、7/19 22時、8/18 16時、9/19 16時、10/21 16時(機種変更)、11/20 11時、12/24 18時、1/26 19時、2/28 23時までの積算(56μSv+67μSv+60μSv+60μSv+50μSv+56μSv+54μSv+63μSv+65μSv+62μSv+64μSv=657μSv)と2/28 (23:00)以降の数値の足し算で表記いたします。

2011 3/13  16:00  ~ 2012 3/13  16:00  までの366日間(1年)
    積算線量(田内のポケット線量計):
    657 μSv(2/28 23:00まで)+ 24 μSv
       = 681 μSv(マイクロシーベルト) 
     注:測定値には誤差範囲があります(± 5%程度)

 ← 左に1年間の積算線量の推移をグラフで示します。
  (各プロットは午後4時の値です。グラフの4/5に切れ目がある
 のは電池切れのためです)
注:2011.7/9-10、8/19-20は福島県へ警戒区域住民の皆様の一時帰宅の手伝い(汚染検査)に行きました。業務地によっては積算値が大きく上昇する可能性が考えられたので、県内および関東での線量積算を維持するために、この期間は家族に線量計を装着してもらっています。なお、田内自身の被ばく積算量(福島県滞在中・移動を含む25〜30時間)は、7/9〜10が4μSvで、8/19〜20は5μSvでした。移動経路上には線量率の高い場所もありましたが、業務にあたった場所の屋外の空間線量率は、いずれも水戸の2〜3倍程度でした。
8/10-11、8/22、11/2-3、11/16-19も関東圏外に行きましたので家族に装着してもらっています。なお、同時に別途測定した結果、現在は関東圏外でも積算線量があまり変わらないことから、2011.11/20以降はこの措置は行っておりません。
報道等にありますとおり、水戸の空間線量率(シーベルト毎時)は2011年3月15日に一時的に平常時の25倍以上まで上昇しましたが、それは短時間で継続的ではありませんでした。そのため、積算した線量の上昇はそれほど大きくなりませんでした。ちなみに、たとえ25倍のレベルが継続しても、数年間程度の被ばくでは、将来にわたって健康影響が出ることは、生物学的に、ほとんど無いはずです。なお、積算線量の上昇率は、少しずつですが、事故前のレベルに戻りつつあります(2011年6月以降はわずかずつしか減っていませんが)。

2年目も測定しました
原発事故から1年間の外部被ばくを測定しましたが、参考までに、2年目も別途ご報告することにしました。ただし、関東圏外(福島県を含む)に行く際もそのまま装着しておりますので、11月中旬までの測定条件は1年目とは異なります。
2/11 11:00に電池交換しました。今後は4/2 16:00、5/11 23:30、6/18 12:00、7/30 12:00、9/3 19:00、9/24 9:00,、10/25 16:00、11/26 17:00、1/6 10:00、2/11 11:00までの積算(38 + 72 + 69 + 82 + 70 + 36 + 62 + 61 + 75 + 67 = 632 μSv)と2/11 11:00以降の数値の足し算で表示しています。

2012 3/13 16:00 〜2013 3/13 16:00 までの365日間
   632 μSv(2/11 11:00まで)+ 58 μSv
       = 690 μSv(マイクロシーベルト)
       (参考:平常時は548 μSv程度)

2年目の測定値は1年目の682マイクロシーベルトとほとんど変わりませんでした(平年の約26%増)。なお、1年目の数値の方が低めになったことについては、この2年間で線量計を3回変えたことによる機器間の誤差に加えて、2011年3月からの1年間は茨城県および関東に限定して計測したことなどによります。ちなみに、2011年3月から1年間の田内自身の計測値(福島や関東県外に行った際に別途計測した値で補正)は700マイクロシーベルト(27.7%増)であり、2年目の方がほんの少し低い値になっています。
3年目(2013)も計測しました。2014年3月13日16:00までの1年間の積算は627マイクロシーベルトで、平年の14.5%増となり、2年目と比べてさらに低下しました。
4年目(2014)は定点(室内窓際)で計測しました。2015年3月13日16:00までの1年間の積算は575マイクロシーベルトでした。

国際線の飛行機内(上空高度約12,000m)では、地上の約50倍の線量率(約2.0〜2.5μSv/h)となりす。国際宇宙ステーションでは、日によって1日で約1ミリシーベルト(10,00マイクロシーベルト)の被ばくを受けます(通常は1日約500マイクロシーベルト程度)が、国際線クルーや宇宙飛行士に放射線被ばくによる健康異常がでたという話を聞いたことはありません。

なお、さまざまな疑問に対し、科学的根拠に基づいてお答えするサイトが「日本放射線影響学会」の有志により立ち上げられています。ぜひ参考にして下さい。
日本放射線影響学会 Q&Aサイト(学会HP内よりアクセス)
   URL: http://jrrs.kenkyuukai.jp
日本放射線影響学会Q&A対応グループでは、20名程度からの勉強会に説明者を派遣し、ご質問に直接お答えしています(無料)。ご希望の方は、上記URLの「Q&A講演会」にある連絡先へご相談下さい。なお、冊子「本当のところを教えて!放射線のリスク:放射線影響研究者からのメッセージ」が医療科学社から発行されていますので、こちらもぜひご覧下さい。
 

東日本大震災(2011東北地方太平洋沖地震)
2011.3.11 研究室も地震による損壊や停電等で大切な試料の大半を失いましたが、再出発して 失った分を取り戻すべく歩みを進めています。

2012年の念頭に・・・ 2012年1月4日
 福島原発事故の発生以来、被ばくの健康影響については、いまだに様々な情報が錯綜しております。特に2011年末の報道番組の中には明らかに間違っている内容も少なくありませんでした。NHK番組にもそのようなものがあったことは非常に残念です。
 そのような中で生活してゆく上で大切なことは、被ばくに関連する数値の意味を自身で何となく理解し、ある意味、感覚的な判断ができるようになることだと思っています。
 被ばくによるリスクを下げるための対応によって、別のリスクを背負う可能性もあります。尺度が個人個人で違うことは当たり前ですから、個人やコミュニティで対応レベルが違うことは問題ではありません。また、いくら測定が充実しても、出てくる数字の意味が理解されなければ、不安や風評の温床にしかなりません。提示される数値の意味をある程度理解し、現状で生活する場合の(過剰な)被ばくによるリスクと、あえて執ろうとする対応によって生じる新たなリスクをきちんと比較し、最もリスクが小さいと思える(何より自身が納得できる)対応をとること、そして、心理ストレスを抱え続けないことが重要ではないでしょうか。 
まずは、ぜひ知っていただきたいこと:
 ・放射性物質、放射能、放射線は違うものを指しています。
 ・放射線はうつりません。残りません。
 ・シーベルトは「放射線の物理量」ではありません。
 ・自然にも放射性物質はあります。
 ・そもそも、放射性物質(放射能)ゼロの食品はありません。
 ・事故前でも、私たちは、内部被ばく・外部被ばくをして
  きました。
 (詳しくは次ページのQ&Aなどを参考にして下さい)

2012年は閏年ですが・・・(2012.3.14)
2012年3月13日16時で外部被ばくの測定開始から1年になりました。閏年で1日多いですが、1年間の外部被ばく線量を元に田内の年間被ばくを推計します(3/13~14は大学のWebサーバシステム更新のため、サイト更新ができませんでした。なお、最終結果は3/12夜に掲載したものと同じです)。
注:計算の考え方はQ&Aにありますのでそちらをご参照下さい。

田内の実測の外部被ばく積算線量は、この1年間で682マイクロシーベルト(0.68ミリシーベルト:4月15日の失われた推定1マイクロシーベルトを加えています)でした。
これは事故がなかった時の平年値 約547マイクロシーベルト(0.54ミリシーベルト:ここは、366日分でなく365日分としました)と比べて約24.6%の増加となります。
そこで、内部被ばくが外部被ばくと同じく平常の24.6%増とすると(これは最大の見積です。詳しくはQ&Aをご覧下さい)、内部被ばく:「0.41×1.246=0.51ミリシーベルト」になります。
さらに、空気中のラドンによる被ばく(これは変化なしです)「0.40ミリシーベルト」を加えると、
全部で 0.68+0.51+0.40 = 1.59ミリシーベルト となります。
この値から、関東の自然の被ばくである1.40ミリシーベルトを差し引きます。
原発事故に関連する増加分は、1.59 - 1.4 = 0.19ミリシーベルトとなり、今回の原発事故に起因して受けた過剰被ばくは最大で約0.2ミリシーベルトと推定できます(測定誤差を考慮しても同程度です)。つまり、一般公衆の限度とされる「年間1ミリシーベルト」を十分下回りました。 最終的に2011年5月の試算(Q&Aに掲載)よりも低くなりました。

http://jrrs.kenkyuukai.jpshapeimage_2_link_0

本サイトの文章、図、写真等を無断で転載することを禁じます。

© Hiroshi Tauchi Lab. 2010-2019

News 2020

2.23 第13回Quantum Medicine研究会を開催します


Q&A更新履歴2015夏以降は更新をお休みしています)

2015

3.13 1年間の積算線量に4年目を追加しました

1.30 公開シンポジウムのご案内を掲載しました

2014

10.27 レポートとQ&Aの前書きを改訂しました

3.13 3年目の積算線量の変化を掲載しました

1.21 Q&A:一部補足を追記しました。

2013(主要な変更のみ)

9.10,17 Q&A:トリチウムと降下物の試算を掲載

4.22 被ばく影響の講演資料をQ&Aに公開しました

3.14 2年目の外部被ばく測定をまとめました

2012(主要な変更のみ)

8/1 Q&A:ストロンチウムについて追記しました

3/12 1年間の被ばくを掲載しました(3/15補正)


中・高校生の皆さんへ

復興と学び応援プロジェクト「今こそ、学問の話をしよう」にメッセージを掲載しました。

ポスト3.11 変わる学問」 朝日新聞出版

http://www.kawai-juku.ac.jp/book/gakumon.html


「本当のところを教えて!放射線のリスク

  放射線影響研究者からのメッセージ

  医療科学社から出版(2015年1月刊)

今後の一般講演先情報(提供)

   現在は予定はありません。 

理学部広報からのお知らせ

理学部公開シンポジウムを開催します

「がん放射線治療に関わる基礎研究:

      臨床との架け橋をめざして」

2020年2月23日(日) 理学部インタビュースタジオ

    

 (理学部HPにも掲載します)

    http://www.sci.ibaraki.ac.jp/

  お問い合わせは下のアドレスへ

田内研究室はWITH HOPEプロジェクトに参加しました。(ロゴは許可を得て掲載しています)

茨城大学水戸キャンパス理学部A棟北側圃場前(地上約1m)の空間線量率を不定期でご報告します。休止中

 NaI(Tl)シンチレーションサーベイメータで測定

  2016. 1.22(金)14:30の値    0.09 μSv/h

2012年5月末のケーブル埋設工事で表層土が攪拌された際に、A棟北側の線量率は低下しました。さらに2013年5月にA等周辺で下水管工事が行われ、別の箇所も掘り返しされました。工事によって線量率が急激に低下する理由は、表層土壌にあった放射性セシウムが土壌攪拌によって希釈・埋設されたためです。

空間線量率は、周辺の状況や天候によって、自然でも若干の変動があります。この日のA棟の室内は、0.06 μSv/hでした。

各プロットは午後4時(16:00)の値です

2012年3月13日からの1年間(青)

2013年3月13日からの1年間(赤)

2014年3月13日からの1年間(緑)

 (2014年4月からは定点測定です)

2011年3月13日からの1年間